更新日付 2023.09.11
こんにちは。司法書士の大桃です。
今年はとんでもない猛暑でしたが、9月に入った途端に涼しくなりましたね。
過ぎ去ってしまうとなんだか寂しさを覚えます。
また、過去に何度かブログに書いていますが、
当事務所の名称である「すずかぜ」とは、「夏の終わりに秋の訪れを告げる涼しい風」という意味があります。
まさに今このタイミングですね。
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さて、今日は「自筆証書遺言保管制度の通知」についてです。
令和2年に始まった自筆証書遺言保管制度ですが、現在までの累計で約58,000件の申請があり、最近だと毎月1,000~2,000件程度の申請件数となります。
これを多いとみるか少ないとみるかは評価が難しいところですが、公正証書遺言の令和4年度の作成件数が11万1,977件ですので、それに比べると大分少ないですね。
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自筆証書遺言保管制度には、遺言保管所が遺言者の死亡後に「遺言書の閲覧」や「遺言書情報証明書の交付を受けたとき」は、全ての関係相続人等に対して遺言書が保管されていることを通知する仕組みがあります。
※遺言書情報証明書の交付を受けるためには相続人を明らかにする戸籍一式と相続人の住所証明書を添付しなければならないので、その点は家裁の検認手続きと変わりません。
ですので、公正証書遺言と違い、相続人の負担軽減に繋がらないのが自筆証書遺言保管制度のデメリットです。
また、指定者通知という仕組みがあり、市町村と法務局が連携して、遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合に、あらかじめ遺言者が指定した方1名に対して、遺言書が保管されている旨を通知することができます。
これまでは受遺者等、遺言執行者又は推定相続人のうち1名に限定していたところ、令和5年10月2日から、これら限定がなくなり、また、人数も3名まで指定が可能になります。
※公正書遺言にはこのような通知がされる仕組みはありませんので、この点は自筆証書遺言保管制度のメリットになります。ただし、公正証書遺言は、相続人が公正証書遺言の有無を容易に検索することが可能です。
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残念ながら遺言書の存在を認知されないまま相続手続が進んでいくケースもありますので、遺言書の意志を確実に実現するために、
これらの制度を最大限活用していきたいですね。
今日は以上です。