会社が銀行などから多額の事業用資金を借り入れする際、不動産を担保に入れるのが一般的です。
むしろ、不動産を担保に入れない限り、多額の事業用資金を借り入れすることは難しいでしょう。
そうなると、担保価値のある不動産を所有していない会社は、多額の借り入れをすることができず、事業拡大のための投資ができないことが懸念されます。
そこで、不動産の代わりに担保価値のある債権(取引先への売掛金など)や動産(在庫商品や家畜など)を担保に入れて借り入れをする方法が、近年注目を集めています。
ただ、債権や動産を担保にいれたとき、抵当権のように担保の順位が明確にならないので、債務者・第三者への対抗要件(私はこういう法律行為をしました、と主張するための要件)の具備が問題になることが多々あります。
その問題を解消するため、債権・動産譲渡登記が活用されています。
債権譲渡登記とは会社が行う金銭債権の譲渡等について、登記をすることで簡易に債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えるための制度です。
債権譲渡登記をすることにより、債務者以外の第三者について、確定日付のある証書による通知があったものとみなされ,第三者対抗要件が具備されます。
また、登記記録として公示されることで債権譲渡の事実が明確になり、無用の紛争を防ぐことできますし、多数の債権を一括で譲渡するときなどは、手続きの簡略化・費用の軽減にもなります。
動産譲渡登記がされると、その動産について、引き渡し(現在自分の占有している物を他人の占有下に移転させること)があったものとみなされ、対抗要件が具備されます。
動産の譲渡については、物自体の引渡しがあれば第三者対抗要件を備えることができるので、通常問題になることはありません。
しかし、例外的に、担保としての動産の引渡しは、担保提供者が占有を継続する占有改定によることが多いため、外見上は引渡しがあったことが明らかになりません。
ですので、動産譲渡登記により公示をして、譲渡の事実を明確にする必要があるのです。